佳境に入った田植え

 

田植えの季節がやってきました。田植えはできるだけ早く作業を終えることを要求されたことから、労働力を提供し合う「結(ゆい)」(相互扶助の精神)といった協同作業で行なわれました。「結」は家を越えた結びつきですから、配偶者を選ぶ機会の少ない昔においては貴重な場でもあり、それで田植えで歌われる「田植え唄」には男女間の恋愛感情を歌った内容を含んだものも多いようです。しかしもとはといえば「田植え唄」は神事唄の色合いが濃く、田の神を迎え、その加護と恩恵を願うという神事性の強いものでした。陰暦五月のことをいう「皐月(さつき)」、田植えをする女性をいう「早乙女」、田植えに用いる稲の苗をいう「早苗」の「さ」は、この田の神を示すものだといったのは国文学者の柳田国男でした。多くの時間を費やして行った田植えも、機械化が急速にすすみ、1反(約10アール)当たり1人30時間も要していた作業も2時間ほどで終えるようになるとともに、田植え唄はもとより田植えの神事的な色合いはすっかり払拭されてしまいました。

| 15:39 | 投稿者 : ushiku |