民俗遺産「一鍬松?」

 

住宅地が広がっていますが、もともと畑のあった場所に大きな松が一本。農家では新年の仕事始め式に「鍬初め」とか、「一鍬」という農事の行事がありました。この儀式は農家の仕事始めの儀式です。広辞苑には『鍬初め:農家で正月の吉日に、吉方(恵方)に当る畑に初めて鍬を入れ、餅または米を供えて祝うこと。田打正月。鍬初め』とあります。茨城県生まれの詩人横瀬夜雨の小品『田舎の新春』の第2項は『鍬入り』と表現されています。その中で『四日は鍬入り、即ち農のはじめだ。畑に入る式をする。大豆と賽の目にきつた餅と昆布とを四方の隅をひねりあげた和紙の器にいれて、畑へ持つてゆき、鍬で一寸麥畑をさくつて門松の一枝を挿しし、そこへ供へる。畑に供へるのだが、その時大聲をあげて、からあす、からすからすと山の烏を呼ぶ。』とあります。この門松の一枝が根付いて大きな松になったところがよく見受けられます。この松は「一鍬松」ではないかと思われます。

また、龍ケ崎市では昭和 49 年に「一鍬松」が市の木として 制定されました。歴史民俗資料館の資料によると、川原代町に あった一鍬松は、新年の農事はじめに豊作を祈 り、田に松の小枝を挿したものが成長したとい われています。見事な枝張りは、最大で 13m あり、昭和 53 年に市の天然記念物に指 定されましたが、松くい虫の被害により昭和 59 年に姿を消しました。(田宮町)

| 17:11 | 投稿者 : ushiku |